第1部
第1回 構えとステップ 空手の構えの基本は、剣、杖の構えである。
下段払いの後ろ脚を半歩くらい前足に寄せ両膝の力を抜いて上肢の前の手を肘から真上へほぼ直角に曲げ、肘、脇をしめて顔面をカバーする。
引手はやや腹部前に構え中段をカバーする。
肘、脇をしめ体側にしっかりつける。
前の手と後ろの手は、正中線を抑えるように上下ほぼ 一直線になるように構える。
両拳と体の間のスペースが自分の陣地で、このスペースは攻守いずれの場合も重要なポイントとなる。
両足底はつま先側に重心を置き、腫は余裕を持たす。
両膝は力を抜きながらもすぐに張れるように足首をしめておく。
動きの原動力は、床面への反発力と股関節の素早い開閉により発揮される。
脱力から生じるスピードと体の締めによるブレーキで威力を発揮するものであり、力によるものではない。
正中線と目付は、体のバランスと伸縮、リズムを保つために重要である。
(基本ステップ)
1.前に刻み突き
2.下がって逆突き
3.左へ刻み突き
4.右へ逆突き
5.前へ右蹴り 支持足のつま先が開かないこと、足首を締めて
引き足を取ること、支持足の膝が伸びないように
蹴ることを注意する。
6.前へ左蹴り
7.後ろへ切り替えしながら下がって逆突き(左)
8.後ろへ切り替えしながら下がって逆突き(右)
第2回 負けの理由
1.構えが小さい
肩に力が入っている 構えの手がそろってる 目付が低い 肘が伸びていない
姿勢が悪い うでから体が離れている
2.足が動いていない
足裏がべたっとついている 足がそろっている 体が伸びている 腰が引けている
居着いている
前後しか動けない、左右に動く→ステップの稽古
前足を下げてしまう
重心が軸足にのっていない
3.自分のペースでやれない
気後れしている 相手の技を見すぎている フェイントが出来ていない
のまれている 自分に自信をもつ、もつようになる
4.技が単調になる
足が切り返せない 技に自信がない 返し技、崩し技を使えない 勝つ戦術がない
動きが単調。 相手に合わせてしまっている 勝ったイメージを抱く
5. 間合いのコントロールが出来ない 間合いのトリックが理解できていない(足の出し入れ、重心の移動)
近くにみせる 遠くにみせる 前足の出入れ 後足を寄足する キザミ
6. 予備動作が出てしまう 力んでしまう 呼吸を止めたり、吸ったりする(攻撃部分だけでなく全身を使う)
運足が遅い 基本で腰を倒しこむくせをつける フェイント さそいと予備動作は違う
7.技が届かない
前脚の踏み込みが浅い(重心移動により後足も柔軟に使う)←重心を前足にかけていない
前膝の曲げが小さい(軸足に充分体重を乗せていない)←腰がひけてしまっている
間合いが遠い コートの中央で戦っている 立ち幅が広くなってしまっている。
8.極めが弱い
技を長く見せる (引手を意識して強くとる) 手を引くよりひじを引く ひじをひくより肩をひく
手足同時に極める (足裏感覚を意識する) 片足突き
気合が小さい (腹の底から声を出す) 相手をおどかす時の発生の仕方
腰がうまく回らない うしろ足が開いてしまっている
第3回 受けのパターンと捌き
受けや体を使っての捌きは、それ自体完璧に出来ても意味がない。
次の攻撃に素早く変化できるものでなければいけない。
→受け極めの稽古は基本組手できたえるのが一番!
(練習方法)
足を引いて下がって前の手で 外受け→
受けた手で刻み突き(中段)
足を引いて下がって前の手で 下段払い→
受けた手で刻み突返し技(前蹴)
(返し技)
中段逆突→前の手でおさえて刻み突き
中段前蹴り→切り直して刻み突き
足を引いて下がって前の手で 外受け→
前へ一歩踏み込んで追い突き
足を引いて下がって前の手で 下段払い→
前へ一歩踏み込んで追い突き(前蹴)
切り返し技
上段回し蹴り→後ろの手で受け刻突き
足を引いて下がって後ろの手で受け→
前の手 で刻み突き返し技 (中段突)
逆突・逆突→内へはたいて逆突き
足を引いて大きく下がって 後ろの手で受け→
受けた手で追い突き(前蹴)
切り返し技
(対面稽古)
三本組手 上段、中段突き、中段前蹴り
二本攻撃(相手の反撃)下がって受けて反撃
自由組手
技は同じ3種類だが、宣告はしない
返し技、切り返し技を自由に使い分ける
第4回 刻み突き
空手の技の中で例えると「飛び道具」にあたる技である。
遠い間合いから一撃で相手を倒す技である。
示現流居合の「一の太刀を疑わず、二の太刀は負け。」の流れを汲む。(松村宗根)首里手
<構えは主に後屈立ち気味になる。(間合いを遠くに見せる)
刻み突きの陥りやすい欠点
①力が入って大きなモーションになる。(気迫で相手を制すればよい)
②予備動作が出て相手に反応されてしまう(トリック、フェイントであればよい)
③的が外れやすい(訓練で精度を高めれば逆にそれがメリットになる)=みんな誰でもできる技ではない⇔逆突きは無難である
→逆突きカウンターをくらう→手から動かす、フェイントをかける、上体をたおして使う。
《対策》
①コントロールをつけるため向かい合って(1人の時は壁に対して)その場から上段追い突き行う。次に少し離れて上段追い突きをして すばやく足を引いて元の位置に戻る。
→コントロールをつけるのは気にするのは拳でなく肩あるいは胸で照準を合す 最後は上段突き、前足ともすばやく引く。
拳で突かない(肘をまっすぐ出す) 胸(正中線)で突く 踏み出す前足の位置を正確に定める
②股関節(内転筋)をよく開いてここで突く感覚を身につけると反応されにくい。
③予備動作をなくすため、足踏みをして追い突き、あるいはステップして追い突きの練習をする。
・肩の力を抜く
・殴るというより摘む
第5回 逆突き
守りの姿勢から繰り出す反撃技で、後の先の戦法。
相手の攻撃を誘おうとするため、前屈立ちの構えが多い。(間合いを近く見せる)(後足をスムーズに逃がす)
逆突きの陥りやすい欠点
① 待ちのため相手の技を見すぎて後手になりやすい。
② 構えに力が入り膝足首が固くなり、相手に「逆突き待ち」を覚えられる。
③ 相手が攻撃を仕掛けないといつまでも見合ってしまう。
→スピードが遅い
→前足の踏み込み、うで・肢を伸ばす
後ろ足のケリを使う
腰の回転、股関節を開く
恐怖心の克服
《対策》
①間合いで誘う。(近くに見せる間合いのトリックを使う)
②注意をそらす
・反対の手を見せる(刻み突きのフェイント)→相手を動かす
・切り返しで揺さぶり相手を動かして隙を作る
・足技を使って気を下へ持ってくる
・中段突きをする腰の高さで上段を狙う
③崩す
・追い突きで思い切り相手の中に飛び込んで腰払いをする
・大きな強い足払いで相手を倒す
・相手の動きの出足を払う
逆突きを進化させていくと追い突きになる
第6回 連続技
組手において初めはどうしても技が単発で単調になりがちである。
本来は一撃で極めるのが理想であるが実際の試合ではそうはいかないことが多い。
フェイントとか連続技でようやく勝機を見出すのが現実である。
そこで連続技が出やすくなるための組手の基本を2つ解説する。
①自然体 前に刻み突き、逆突き( 左足前)
逆突き、刻み突き (右足前)
刻み突き、逆突き (左足前)
2番目の逆突きが大切になる
相手をつけて自由構えでこれをやってみる
これを5セット素早く行う
・前傾姿勢で足を素早く入れ替える
・胸から足が出ているイメージで下半身を大きく使う
・重心の位置、正中線が前後左右にぶれない
②前屈立ちで逆突きの姿勢
スイッチ
逆突き
前蹴り
逆突き
刻み突き、逆突き
これを5セット素早く行う
・スイッチする時なるべく腰の高さを変えない
・攻撃技の力の方向が前に出るようにする
・重心の位置、正中線が前後左右にぶれない
第7回 出合い稽古
実際の組手試合のほとんどがこの出会いの形をとっている。
お互いがより先に極めようと狙っているため、お互いの技を繰り出すタイミングがほとんど同じになり、結果的に出合いになってしまう。
そこで最初からこの出合いを想定して稽古し、その後の動きも準備して試合に臨めば、試合を制する可能性も高くなる。
《対面で基本一本組手》
①相手が右足を引いて下段払いの構えから(上)中段追い突き (前蹴り)
左足を引いて上段追い突きで極める=受けない
これで左右行う
②相手が右足を引いて下段払いの構えから(上)中段追い突き(前蹴り)
右足を相手側に踏み込んで上段追い突きで極める
これを左右行う
《自由組手形式》
①一本組手と同じ形式で自由組手形式で行う
②刻み前蹴り、刻み回し蹴りでも対応できるようにする
③相手と同じ技を後の先で極める
・刻突き
・逆突き
・刻逆突き
第8回 心構え
① 間合いのトリックを身につけて間合いをコントロールできるようになる <重心の位置、前足の出入れ>
② 体全体に意識が通るように大きく構える <呼吸…前側から吸って裏側へまわす>
③ 足裏感覚を意識して床への反発力を利用して力を生み出し、足裏で重心をコントロールする
④ 予備動作、フェイント、いなしを区別して使い分けられるようにする⇒相手をコントロールしているかどうか
⑤ 出合い稽古で胆力をつける
⑥ 視線を高く視界を広くし目指す自分を意識する
⑦ 勝った相手をねぎらい、負けた相手に感謝する<残心>
第2部
第9回 組手に活きる稽古、形に活きる稽古
①組み手に活きる基本 生涯空手を目指すためには基本が大切
攻撃技を基本において正しく反復練習する
自由組手と異なり突きは引かず突きっぱなしでひじをしっかり伸ばして腰を入れ膝をしっかり曲げてもバランスが崩れないように練習する。
この時横の歩幅は出来るだけ狭くして到達距離を稼ぐように行う。
極めは最大限の力を入れて、極めた後はすぐ脱力して次に備える。
運足は、股関節の開閉と内転筋の伸縮で瞬発力をつけ、2歩前進1歩後退、2歩後退1歩前進を1歩ずつ区切るように正確かつ素早く出来るようにする。
前蹴り→追い突き
回し蹴り→逆突き
逆突き→振り返り逆突き
・長い追い突き
・逆突き-逆突き
・刻前蹴、刻回し蹴
基本審査は、軸足と運足が正しく行われているか、腰は水平か、上体はまっすぐ立っているか、膝の位置は、
肘は極まってるか、手足の武器は、目付は正しいか、間合いは適正か、礼儀、気魄、残心はある
か、が着眼点である。
②形に活きる稽古 「みせる空手」「一瞬の極め」
受け技の出発点(おこり)、コース、肘の使い方、脇の締め、膝の張り、足首の締めに気を付けて反復練習をする。
各受け技のつくりを大きく正確に行う。(肘の張り、胸筋の収縮、脇の締め)
協会の受け技は、攻撃技としても使える強力な技でなければいけない(空手に先手なし)
下段払いで前後
騎馬立ちで横移動
後屈立で回る
・手刀打ち
・裏拳
・鉤突